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2016.03.06ブログ

スマートエネルギーWeek2016に行ってきました。

3月3日~4日の2日間、スマートエネルギーWeek2016に行ってきました。

業界の動向や各メーカーの新製品をチェックすることが目的で、ここ数年は毎年行っているのですが、今年は太陽光発電の売電単価が電気代の購入単価よりも下がることが決まったことで、業界がどちらの方向に向いて動くのかに興味がありましたが、案の定太陽電池EXPOよりも、電力自由化EXPOとスマートグリッドEXPOの方が盛り上がっているように感じました。

各メーカーとも力が入っていたのはやはり定置用蓄電池システムで、住宅向けの蓄電池システムに関して言えば、ハイブリッドタイプを各社もZEHと絡めて展示していましたが、ほとんどがオムロン製、田淵電機製、パナソニック製の従来機種のOEMで、真新しいものは京セラ向けのニチコン製のものくらい。ほかにシャープとLS産電が独自路線といった感じでした。(テスラはまだ製品以前の状況)

各社の性能などはそれぞれのカタログやホームページをご覧いただきたいのですが、まだ各企業とも手探り状態のようで、1社をのぞき(※)ほとんどのメーカーはまだまだ改良の余地がありそうです。

(※=「1社をのぞき」と書いた1社とはシャープのことなのですが、それについては後述します)

問題点1 大きさ
 
不思議なのは各メーカーとも製品の大きさや容量を大きくしたがること。
ほとんどのメーカーが巨大なハイブリッドインバーターユニットを巨大なコンクリート基礎を造ってその上に固定させる方式。
そして蓄電池ユニットは屋内に設置することになっている。
メーカーの設計部門の人はどうにもカタログデータなどの技術力の主張が優先して現場サイドでの実用性に欠ける製品を作る傾向があるようで、現実の住宅の建て方がどのような状況になっているのかは全く念頭にない様子。
巨大な機械を造ってデモンストレーションしたい気持ちは分からなくはないが、実際に販売・施工する私が見て感じることは、「こんな巨大な設備を住宅のどこに設置できるというのか?」ということ。私の背丈よりも高いものまであった。
はっきり言って、北島三郎さんクラスの有名人の家や地方の豪農の家以外は、どこの家も巨大な装置を付けられる場所は、既にエコキュートに占領されている。こんな巨大な装置を設置するためには車庫か玄関前をつぶすしかない。

問題点2 施工性

上記にも書いたように、ほとんどのメーカーは設置工事のイメージが全く湧かない製品が多すぎる。必要な基礎も巨大なら装置のスケールが大きすぎて人力では到底搬入不能の製品も多い。なんで普通の住宅に設置するのにクレーン車が必要なの?太陽光発電システムの設置でもほとんどクレーン車なんて使いませんよ。
あと、屋内に電池ユニットを置く製品も多いが、北海道や東北のような寒冷地ならまだしも、わが九州のような一般地域で屋内設置を求める意味が分からない。
小さい子供をお持ちのご家庭ならわかると思いますが、こんな危険な設備を家の中に設置するなんて頭がおかしいとしか思えない。
使い方を誤ると感電したり爆発したりしかねない設備です。屋外設置が基本ですよ。
近年のバリアフリー工事では極力屋内に障害物を置かないように心掛けるものだが、蓄電池の屋内設置は障害物でしかなく、バリアフリーに相反するものになる。
しかも壁付けの製品も多いが、100kgもあるものを補強もなしに壁に付けられるはずもない。当然、補強工事が必要になる。
各メーカーとも施工性をおろそかにし過ぎ。

問題点3 フル充電に必要な所要時間

各メーカーに質問したところ、ほとんどのメーカーでフル充電に5時間以上かかると言われました。
蓄電池は通常ナイトタイムに充電するんですよね。これってエコキュートの湯沸し時間に干渉するんじゃないんですか?
蓄電池の充電で2~3kWの電力を使った上にエコキュートが湯沸しを始めたらどうなるのか?
さらに冬場は暖房負荷が急上昇。夜型の生活の家や床暖房をフル稼働させていたら・・・。
一般のオール電化住宅の契約容量は60Aですよ。とても持ちませんよ。

問題点4 機器の費用

産業用蓄電池は別ですが、容量を巨大化させればさせるほど、費用がかさむのは自明の理で、太陽光発電システム設置費用よりも高価な蓄電池システムを設置したい人はなかなかいないでしょう。
メーカーの技術の方々に言いたいです。こんなに費用がかかる製品を、設計者のあなた自身が購入できますか?と問いたいです。
どれも太陽光発電システム設置を前提にしているのに、です。

問題点5 通信機能

ほとんどの会社のインバーター装置は通信機能が標準装備ではなく、別途通信装置など複数の装置をインバーター装置周辺に弁当箱のように
並べなければならない。分電盤周辺に並べようにも既に太陽光のパワコンが付いている状態でまだ脱衣所にスペースは残っているのでしょうか?
蓄電池を設置すると、家の壁や廊下が箱だらけになることは確実。

これだけ書くと、定置用蓄電池の未成熟な点ばかりが目につきますが、そんな中で、1社だけ、上記の問題点をすべてクリアしているメーカーがあるんですね。

それがシャープなんです。

シャープ製の施工性は抜群で、屋外設置なのに基礎工事が不要。
分解して重量を軽くして搬入できるので、職人の人数が少なくて済む。当然ながらクレーンは不要。
電池ボックスがエアコンの室外機の大きさ程度なので、窓と干渉しないので、設置場所を自由に設定できる。
蓄電池容量が4.8kWh。これが絶妙。大きすぎないので、フル充電に必要な時間は2時間半。これならエコキュートの湯沸しに干渉しない。
容量が比較的小さいこともあって、費用は各社の中で最も安価。
通信機能は標準装備なので、あれこれとパワコンの周辺に弁当箱のような通信装置をたくさん並べる必要がないので、見た目がスッキリ。

もっとも施工性が良くて見た目も洗練されていて、使い勝手が良いのがシャープ製。
私から見て、唯一実用レベルにある定置用蓄電池だと思います。

さらに、HEMSについて

悪い意味で気になったのはHEMS。各社HEMSを出していたが、どれも「電力消費を見ることができる」とか「(自社メーカーの)エアコンなどの操作がスマホで遠隔操作できる」程度のもの。
未だ自動制御に踏み込んでいるものはなし。未だに前IoT時代の代物ばかりだ。
しかも、「電気を使いすぎていますよ!」とか人間に講釈するようなものまである。仕事疲れで帰宅した時にこんなことを機械から言われたら腹が立ちますよ。
こんな製品を買いたい人はいるのでしょうか?

そんな中、(以前のブログで書いたように)シャープは太陽光+HEMS+蓄電池の3点セットで自動制御まで踏み込んで製品化しています。
こと、住宅のエネルギーソリューション関連の製品化された技術は、シャープが1歩も2歩も進んでいるように見える。

鴻海による買収騒動のせいで、シャープの評価は不当に下がっているが、ZEH向け製品に関する限り、技術的にはシャープが一番進んでいる。
シャープという会社を不当に貶める記事や、根拠のないいい加減な飛ばし記事ばかりが目につくが、シャープという会社はもっと評価されるべきだと思う。

用松 俊彦


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